蒸留酒って知ってた?ウイスキーも焼酎もテキーラも太らない蒸留酒

蒸留酒、醸造酒、混成酒という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
混成酒はあまり耳馴染みがないかと思いますが、
これらの名称は製造方法が異なるお酒のグループ名のことをいいます。

今回はこの3つの言葉と、普段飲んでいるお酒がどちらに所属するお酒を見ていきましょう!

そもそも蒸留酒とは

お酒には3つの製法があります。ビールなどの原料を酵母で発酵させて造る(1)醸造酒と、ウイスキーなどの醸造酒を蒸留して抽出されたアルコールで造る(2)蒸留酒。そして、梅酒やリキュールなどの(3)混成酒です。

(1)醸造酒

発酵作用(酵母などのもつ酵素によって、糖類のような有機化合物を分解させ、アルコールなどを生ずる現象)を応用して、お酒を製造することを、醸造酒といいます。
蒸留酒に比べアルコール度数は低く、ワインやビールなどが代表的です。ワインはブドウに含まれる糖によって発酵を行い、日本酒は麹を使って発酵をさせます。

(2)蒸留酒

アルコール発酵した醸造酒(発酵液)を蒸留して造られた酒で、スピリッツとも呼ばれます。大気圧下では水の沸点が100度なのに対し、アルコールの沸点は約78度です。この温度差を利用して、醸造酒を熱し、水よりも沸点の低いアルコールを優先的に気化させ、それを別の容器に移して冷却し、再び液化させて造られます。つまり、溶液を熱して、出来た蒸気を冷やして、アルコール純度の高い液体として集めてお酒をつくります。

当然、純度を高めているため蒸留した液体は、もとの醸造酒よりアルコール度数が高くなります。醸造酒のアルコール度数は5%〜20%ですが、蒸留することで40%以上、何度も蒸留を繰り返すと最高96%にまで高めることが可能です。96%となるともはや酒というより、ただのアルコールですね。

もともと蒸留の技術は酒を造るためではなく、花などを原料にスパイスや香油を精製するために生まれました。なぜ酒造りに発展したのかは定かではありません。てっとり早く酔っぱらいたかったからでしょうか。

ともあれ、蒸留することで保存がきくようになったのは確かです。醸造酒には糖質やタンパク質などの有機成分が含まれ、アルコール度数も低いため、雑菌が繁殖しやすいのが難点でした。しかし蒸留酒は有機成分を含まず、アルコール度数も高いので長期保存が可能。そのため焼酎を始めとした蒸留酒には、賞味期限がありません。これで人類は、いつでも酒が飲めるようになったのです。

(3)混成酒

醸造酒や蒸留酒に植物の種子や果実などを混ぜて蒸留したり、浸したりし、香味や糖分を添加した再製酒と呼ばれます。梅酒、リキュール、ベルモットが代表的です。

カロリーではなく糖分をチェック!醸造酒と蒸留酒の糖分の違い

よくウイスキーや焼酎などの蒸留酒は太りにくいと言われているのは、糖分が含まれていないためです。

人が太る要因は、運動不足やカロリーではなく”糖分”ということが分かってきました。ライザップ等が厳しい糖質制限を行うのもこのためです。運動では痩せやすい、リバウンドしにくい体質はつくれても痩せることは難しいと言われています。

醸造酒の造り方でご紹介しましたが、醸造酒は原料からブドウ糖やアルコールを作り出します。醸造酒には、発酵時に作り出された糖分がお酒に含まれます。

一方で蒸留を造る過程では、アルコールと香味成分のみを抽出して造られるため糖分が含まれません。蒸留酒は太りにくいお酒と言われている所以です。おつまみの糖分には注意してくださいね。

古くはメソポタミア文明で!蒸留酒の歴史

蒸留酒とその他のお酒の違いはこの辺にして、蒸留酒について深ぼっていきたいと思います。

世界最古の蒸溜酒とされているのは、メソポタミアで造られていた「アラック」です。当時はナツメヤシの実(デーツ)を原料にしていたようですが、現在、アラックという名称は中近東から東南アジアにかけて造られているさまざまな蒸溜酒の総称となっています。

蒸留酒

蒸留酒の世界への広まり

アラックにはじまった蒸留酒は、長い時間をかけて世界に広がっていきました。
■西ルート(海上)/スペイン・ポルトガル→アイルランド→スコットランド
■西ルート(陸上)/スペイン・ポルトガル→フランス・オランダ→フィンランド→ロシア
■東ルート/インド→モンゴル・中国→タイ・インドネシア→琉球→鹿児島
■大西洋ルート/スペイン→西インド諸島→メキシコ・ブラジル→アメリカ→カナダ
こうして、それぞれの国・地域で、個性あふれる蒸留酒が生まれたのです。

世界4大スピリッツ(スピリッツ=蒸留酒)と言われるのは、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラですが、しかしこれはウイスキーやブランデーを別のカテゴリーとした場合のこと。製法から分類すれば、どちらも蒸留酒です。そして日本の焼酎も世界の蒸留酒の中のひとつなのです。

 

世界の主な蒸留酒

160420_蒸留酒MAP

スコッチウイスキー(Scotch whisky)

産地/イギリス 原料/大麦麦芽 単式蒸留機で2回蒸留後オーク樽で3年以上貯蔵

マッカラン(MACALLAN)やグレンフィデック(GLENFIDDICH)など多くの有名銘柄存在する伝統あるスコッチウイスキー。スコットランドで製造されるウイスキーで、2009年の法律によって定義が規定されています。
例えば、下記のようなものがあります。

  • 水・酵母。大麦麦芽(モルト)およびその他の穀物を原料とする
  • スコットランドの蒸留所で糖化と発酵、蒸留を行う
  • アルコール度数94.8%以下で蒸留
  • 容量700リットル以下のオーク樽に詰める
  • スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成
  • 水と(色調整のための)スピリットカラメル以外の添加は不可
  • アルコール度数40%以上で瓶詰めする(EU規則による)

ジン(Gin)

産地/オランダ・イギリス 原料/ライ麦・トウモロコシなど 杜松の実や柑橘系の香り

世界の4大スピリッツのひとつ、ジン。銘柄はビーフィーター(BEEFEATER),ボンベイ(BOMBAY),ギルビー(GILBEY’S)が有名です。大麦、じゃがいも、ライ麦などを原料として造られ、薬草による独特な風味の強さが特徴的です。
元々、オランダで薬用で使われる薬用酒として用いられており、蒸留される際にネズの実(ジュニパーベリー)や、ボタニカルと呼ばれる薬草成分を加えられています。

アイリッシュウイスキー(Irish whiskey)

産地/アイルランド島 原料/大麦・ライ麦・大麦麦芽など 3回蒸留後3年以上樽貯蔵

パワーズ ゴールドラベル、ブッシュミルズが有名なアイリッシュウイスキーは、アイルランド共和国の法律(1980年)によって規定されています。例えば、下記のようなものがあります。

  • 穀物類を原料とすること
  • 麦芽に含まれる酵素による糖化、酵母の働きによって発酵させていること
  • 蒸留時のアルコール度数は94.8度以下であること
  • 木製樽に詰めること
  • アイルランド共和国、または北アイルランドの倉庫で3年以上熟成させること

ブランデー(Brandy)

産地/フランス 原料/ブドウ ワインを蒸留して樽貯蔵熟成。有名なコニャックは地名

フランスから生まれた蒸留酒で、主にワイン(果実酒)から造られます。
ポールジロー、ヘネシー X.O.が有名です。
ワイン以外には、アップル・ブランデーやチェリー・ブランデーもあります。

ウオッカ(Vodka)

産地/ロシア 原料/トウモロコシ・大麦・小麦などの穀類 連続式蒸留後、白樺炭濾過
アブソルート、スミノフで有名なウォッカ。醸造スタイルはウイスキーに似ており、ただ癖が少ないのが特徴です。

アラック※総称(Arrack,Arak)

産地/インドネシア(東南アジア各国) 原料/米・ココナッツ樹液 単式蒸留
オールドリザーブやIDLオールドアラックなどで知られるココナッツアラック、香りは華やかで泡盛に近い味です。

白酒(パイチュウ/baijiu)

産地/中国 原料/高梁(コウリャン)・トウモロコシ・小麦など 甕貯蔵して長期熟成
洋河大曲 海之藍、孔府家酒など中国の歴史的なお酒である、パイチュウ。紹興酒よりもクセがないため中国酒の入門として親しまれています。

焼酎・泡盛(Shochu・Awamori)

産地/日本 原料/米・大麦・さつま芋など 本格焼酎と泡盛は単式蒸留、焼酎甲類は連続式蒸留
単式蒸留は一回ずつしか蒸留ができない伝統的な蒸留法で、連続式蒸留は機械で連続的に蒸留ができるものとなります。

カナディアンウイスキー(Canadian whisky)

産地/カナダ ライ麦を主原料とするウイスキーとトウモロコシを主原料とするウイスキーをブレンド
日本では世界五大ウィスキーの一つとされ、生産量はスコッチに次ぎ、世界第二位のカナディアン・ウイスキー。カナディアンクラブやコリンウッドが有名です。

こちらのお酒もカナダの法律にて定められております。

  • 穀物類を原料に発酵を行うこと
  • 糖化・蒸溜・熟成をカナダで行うこと
  • 700リットル以下の樽(小さめの樽)で3年以上熟成させること
  • 瓶詰の際のアルコール度数は40度以上であること

アメリカンウイスキー(American whiskey)

代表的なバーボンウイスキーはトウモロコシが原料。内側を焼いた新樽に2年以上貯蔵
日本でも馴染みが深いジムビームやジャックダニエル、ワイルドターキーなどで知られるバーボンもアメリカの法律にて定められております。

  • 穀物類を原料にしていること
  • 熟成にオーク樽を使うこと
  • 瓶詰の際のアルコール度数は40度以上であること

※トウモロコシが原料となるウイスキーに限っては、熟成にオーク樽を使わなくても良いとされています。

ラム(Rum)

産地/西インド諸島 原料/サトウキビ 単式または連続式蒸留後ホワイトオーク樽貯蔵
「ゴールドラム」「ホワイトラム」「ダークラム」で大きく分けられるラム酒は、サントリー ラム ゴールドやバカルディが有名です。

テキーラ(Tequila)

産地/メキシコ 原料/竜舌蘭(リュウゼツラン) 樽貯蔵の有無などにより透明な酒から琥珀色の酒まで。現地の言葉でアガベという植物の球根がテキーラの原料となります。サウザやカミノ・レアル ゴールドで有名なテキーラは、多くのカクテルベースとなることで知られているお酒です。

ちなみにテキーラと呼ぶためにもいくつもの厳しい基準があります。

  • 材料はメキシコ国内の一部だけで生産される『ブルーアガベ』を51%以上使用すること
  • 熟成にオーク樽を使うこと
  • アルコール度数は35%~55%におさめなければならない。
  • テキーラ村(テキーラの名前の由来の村)と、その周辺で作られたものでなくてはならない。
  • 上記のほかにも、蒸留回数の規定や禁止材料もあります。

ピンガ(Pinga)

産地/ブラジル 原料/サトウキビ 搾汁を発酵・単式蒸留後、樽貯蔵。別名カシャッサ。ピンガはサン・パウロ、カシャッサは、リオなどの地方で呼ばれる名前で、さらに美南の地方では、カニャと言われています。
サトウキビで作られた火酒でブラジルのお酒であるピンガ。Pirassununga51が有名ですが日本ではあまり馴染みが無いですね。

蒸留酒

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