桜の木を使った樽で貯蔵熟成させた焼酎。さて、どんな味?

花の便りに心を弾ませる季節になった。ウェザーニュースによると2021年の桜の開花は全国的に平年より早い予想で、桜前線は3月半ばから5月半ばにかけて、あたり一帯を淡いピンクに染めながら日本列島を北上していく。

 

開花予想の対象となっているのはソメイヨシノという品種。校庭や公園にあって、卒業式や入学式の日に、満開の花の前で写真を撮った方も多かろう。テレビドラマやミュージックPVでもよく目にするし、ひらひらと舞い散る花びらは、いかにもはかなげ。咲き誇る華やかさ以上に、散りゆく切なさが心に響く。これって、日本人だからなのだろうか?

 

桜並木の木々が1週間ほどの間に一斉に咲いてパッと散るのは、みんな同じ遺伝子を受け継いでいるからだ。鹿児島の木も東京の木も同じ遺伝子を持っていることがDNA解析で確認されている。ソメイヨシノは人がつくった栽培品種であり、日本全国のソメイヨシノはすべて接ぎ木などで増殖したクローンなんだって。

つくられたのは江戸末期で、もとになったのはエドヒガンとオオシマザクラ系の雑種。東京の染井村(現・豊島区駒込付近)に集落をつくっていた植木職人たちが開発したそうだ。

これでソメイヨシノの「ソメイ」の由来はわかったが、「ヨシノ」の方はどうなんだというと、なんと奈良の桜の名所である吉野山にちなんだネーミングらしい。

 

クルマも電車もない時代。吉野の桜が江戸にいながら見られるってことで人気を博したのだろうが、今なら問題になりそうな紛らわしいブランド戦略だ。でもソメイヨシノは成長が早いうえに花が大きくて見栄えがいいということで、明治以降、どんどん全国に普及していった。

 

では本物の吉野山の桜はというと、こっちは「ヤマザクラ」という日本固有の野生種。東北南部から九州まで広く分布していて、吉野山には3万株ともいわれるシロヤマザクラが豪華絢爛に咲き乱れる。もともとは山岳宗教と結びついた桜で、御神木の献木として植え続けられたものだが、昔の貴族たちは「桜狩り」と称して花見の宴を設け、のちに一般庶民もこぞって花を愛でるようになった。

野生種の桜は1本1本違う遺伝子を持つので、花の形や色もそれぞれ異なり、同じ気象条件下でも一斉に咲いて散ることはない。開花と同時に赤い若葉も出てくるので、ピンク一色に染まった景色にはならないが、ソメイヨシノと違って、ほのかに香る花が見られることもあるという。

 

そういえば、桜の花の香りって知らないや。でもソメイヨシノだって、メジロやヒヨドリがやってきて花の蜜を吸っているのを見るので、そこにはきっと甘い味や香りがあるのだろう。でも桜の香りといわれて思い浮かぶのは、桜餅の香りかな(笑)。

 

その桜餅の芳香はクマリンという物質の匂いだそうで、桜の葉の中にはクマリンのもとになる液胞が存在しているのだという。生のままでは香ることはないが、塩漬けにされて細胞が壊れることで葉の中のクマリンが香るようになるのである。

 

ちなみに桜餅の発祥当時はヤマザクラの葉を使ったと思われるが、現在の桜餅に使われるのはオオシマザクラという野生種のものが多い。

 

さて、ヤマザクラは樹高20メートル以上・直径1メートルにも達し、木材としても有用だ。材質が強靭で美しいことから、古くから家屋の内装材や家具調度品、工芸品、楽器などに用いられてきた。江戸時代の浮世絵や書物の版に使われていた木も、そのほとんどがヤマザクラである。

 

数年前、この日本古来のヤマザクラを使った樽を開発したという情報が、洋樽製造所から田苑に届いた。洋樽のほとんどは輸入オーク材を使って作られていて、ヤマザクラは樽加工には不向きとされてきたのだが、樽の胴体ではなく左右の鏡板部に採用することで、初のユニークな桜樽が生まれた。

 

桜はバラ科。ヤマザクラの木には、オークにはないバラ科特有の甘い香気成分が含まれている。桜の樽で貯蔵したら、どんな香味の焼酎ができるのか?!

 

田苑では『田苑 ゴールド』になる予定の麦焼酎原酒を、本来のオーク樽ではなく、この桜樽に詰めた。そして2020年7月、桜樽の中で貯蔵熟成された、数量限定の『田苑 桜ゴールド』が完成したのだ。

アルコール度数が40度あるので、オン・ザ・ロックももちろんいいけど、1対1の水割りにすると香りや味わいの甘さが際立つ。桜材によるとみられる甘い香りは、どこまでも上品でやさしく、味わいはまろやかで深みがある。穏やかな甘さが余韻として残り、飲み干したあとのグラスも甘くて、とってもスモーキーだ。

 

そこで、おつまみには燻製を作ってみることにした。マシンなんかなくても、中華鍋でできる。スモークチップは、もちろんサクラ材。ヤマザクラだ!

 

1)中華鍋の内側をアルミホイルで覆い、スモークチップをひとつかみ。
2)網を乗せ、具材を並べる。チーズ、ゆで卵、ベーコンなど。
3)フタをして火にかけ、煙が出だしたら中火に。約10分で完成。

花見の宴会は、がまんがまん。近所の桜並木で花を愛でたあと、サクラチップの燻製と『田苑 桜ゴールド』で思いっきり春を満喫した。

 

『田苑 桜ゴールド』についてはこちら↓
https://item.rakuten.co.jp/denen-shuzo/6153/

 

 

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