ブラジルといえば、サッカー、カーニバル、カイピリーニャ!となるかもよ

東京・代々木公園で開催されているブラジルフェスティバルは、2019年で14回目を迎え、夏の恒例イベントとなっている。来場者10万人を超え、音楽やダンス、ブラジルフード&ドリンクなどで熱気ムンムンの盛り上がり。そのなかでも、年々人気が高まってるなと感じたのが、飲食ブースのドリンク「カイピリーニャ」だ。

 

各ブースの店頭には”Caipirinha”の文字が大きく掲げられていて、「カイピリーニャいかがですか!」と呼び子の声もひっきりなし。ブラジルフェスへ来たら誰もがカイピリーニャの名前は覚えてしまうに違いない。でも、それがどういう飲み物なのかは意外と知られていないように思う。

カイピリーニャは、カシャッサというブラジル産の蒸留酒とライム、砂糖、氷で作られるシンプルなカクテルだ。ブラジルの国民的なドリンクで、バルやレストランはもちろん、アウトドアイベント、BBQ、ホームパーティでもよく飲まれる。コパカバーナのビーチに寝っ転ろんでいたら必ずカイピリーニャ売りがやって来るとも聞いた。

 

で、その作り方は、

①ライムの両端を切り落としてタテ半分に。白いワタを取り除いて6つにブツ切り。
②底の平たいグラスにライムと砂糖を入れ、棒状のものでライムを潰す。
③小さめのアイスをグラスいっぱいに入れ、カシャッサを注いでステアする。

ライムは丸々1個使ってもいいし、クシ切りでもいい。カシャッサを注いで混ぜてから氷を入れた方がやりやすいかもしれないな。グラスで作らずにシェイカーを使ってもOKで、各人がそれぞれのスタイルで作っているようだ。

 

では、そのベースとなる蒸留酒カシャッサはどんな酒なのか。ラムを特集した際に、原料であるサトウキビは西インド諸島には自生しておらず、15世紀にスペインが入植して持ち込み、砂糖生産をはじめ、その副産物である糖蜜からラムは生まれたと書いた。

 

これに遅れて16世紀初頭、今度はポルトガルの探検隊がマデイラ諸島からブラジルへサトウキビの苗を持ち込んでプランテーションを設立。ラムの場合と同じようにアフリカの人々を奴隷として連れてきて製糖産業を拡張していったのだ。このような歴史の中で生まれたのがカシャッサである。原料は、ラムと同じサトウキビ。ただし、その製法はちょっと異なる。

ラムが砂糖を製造した後に残る糖蜜を原料にしたのに対して、カシャッサはサトウキビの搾り汁そのままが原料だ。法律にも定められ「カシャッサとはブラジルで生産されたサトウキビを原料とし、その搾り汁を発酵させた蒸留酒。アルコール度数は38~48度。製品1ℓに対して6gまで加糖したものも含める」と明記されている。

 

カシャッサが生まれた当初はプランテーションで働く奴隷のための酒だったそうだが、次第にその他の労働者も飲むようになり、一般大衆へと広がっていく。17世紀末から18世紀にはゴールドラッシュが起こり、これがブラジルの人口を倍増させ、カシャッサのマーケット拡大を進めることにもなった。

 

しかし、カシャッサ人気の高まりは、宗主国・ポルトガルがブラジルに輸出していたブドウの皮から造る酒の販売を邪魔した。そこでポルトガルは、カシャッサの流通を禁じたり、重税を課したりしたのだが、人々は、その反感からさらにカシャッサを愛するようになっていったというわけだ。

 

現在、カシャッサには大規模な工場で大量生産されるカシャッサと、家族経営のような中小規模の蒸留所による手づくりカシャッサがある。ブラジルカシャッサ研究所によると全国に約4万もの生産者があって、その98%は後者だという。2種類の違いを「日本カシャッサ協会」のWebサイトから引用させていただこう。

 

■カシャッサ・インダストリアウ
サトウキビを機械で収穫、発酵には主に化学培養酵母が使われる。蒸留機は大量生産と味の安定性に適しているステンレス製連続式蒸留機が主流である。

 

■カシャッサ・アルテサナウ
サトウキビは主に手刈りで収穫、発酵には米粉やトウモロコシなどから抽出した酵母を使用することが多い。蒸留機はより個性を引き出すことのできる単式蒸留機(ポットスティル)を使用する。

 

さらに、カシャッサ・アルテサナウでは木樽による貯蔵熟成が行われ、その樽材にはアマゾンの原生林種などブラジルの特産木が使用されており、その数は30種以上におよぶ。樽ごとの個性や特徴によって様々な味わいが生まれ、最近ではクラフトカシャッサとして少しずつ評判が高まっているのだ。

カシャッサは、ブラジルのラムなんかでは絶対ない。カシャッサは、カシャッサだ。ブラジルのポルトガルからの初の独立運動の際に、チラデンテスなるリーダーはこんなスローガンを掲げていた。

 

「独立の乾杯はポルトガルのワインではなく、我々のカシャッサで!」と。

 

カシャッサはブラジルのスピリットであり、誇りであり、アイデンティティなのだ。そして、カイピリーニャはカクテルのひとつではなく、ブラジルの文化といえるだろう。ブラジルといえば、サッカー、カーニバル、カイピリーニャだね。

参考文献

・日本カシャッサ協会Webサイト http://cachaca-japan.jp
・ブラジル特報(一般社団法人 日本ブラジル中央協会)

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父の日は田苑

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