あなたを見てインスピレーションで言葉を贈ります。<後編>

路上での活動からはじまって、これまで全国10万人以上の人に言葉を贈ってきた「しょどう家」堀之内哲也氏。このたび、田苑酒造が鹿児島限定で発売した芋焼酎『いろは歌』のラベル題字を手がけられました。ユニークな風貌、派手なパフォーマンスの奥に秘められた「書」への思いをうかがいます。

 

<後編>

『日新公いろは歌』とは、どういうものですか?

戦国時代につくられた薩摩藩の教育書です。日新公は「じっしんこう」と読み、戦国時代の武将「島津忠良」のことです。本には、人々が幸せに暮らせる世の中にしていくために、一人ひとりが守るべき大切な教えが、いろは順に47首の和歌として書かれています。薩摩ではその後何百年も、昭和のはじめごろまで学校の教科書として使われてきたといいます。

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『いろは歌』のどこに惹かれたのですか?

地元を離れて京都で子育てしていて、子どもに対してどこを柱に伝えていったらいいのか考えたことがありました。何を大切にしようかって。そうしたら思い浮かぶのは、自分がちっちゃいときに親に言われたことやおじいちゃんおばあちゃんに言われたことばかりだったんですね。で、この『いろは歌』を本屋でパラパラっと見たら、そういうことがいっぱい書いてあったんです。500年前の教育書なのに、大切なことは今もぜんぜん変わらないんだなと思ったときに、これをもっとしっかり読み込もうと決めました。

実際にじっくり勉強してみると、子育てだけでなく人間関係だったり仕事に対する取り組み方だったり、いろんな角度から教えが書かれていました。薩摩藩の子どもたちは、こういうことを学んで、実践したんだな。西郷さんは立派な人だけど、その西郷さんを育てた『いろは歌』はもっと偉いなあって(笑)。

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それで『いろは歌』を書の題材にしようと?

『いろは歌』に込められたメッセージは、今の時代にこそ大切だと思っています。だから僕が知ってるだけじゃなく、みんなに伝えなきゃと。これを知ってる人、これを実践する人が増えたら、世界はもっともっと幸せになりますよ。

それに単純に、鹿児島出身で全国各地をプラプラしてて、「書」というのをやってる。僕にぴったりじゃないですか。やれと言われてるようなもんでしょ。これまでにも専門家が『いろは歌』を紹介したり解説したりしていますが、どちらかというと難しい研究書のようなものなので、一般の人が知る機会はほとんどありません。堀之内哲也の書を通して、全国の多くの人に『いろは歌』を伝えていこうと活動しています。

 

 

武将の格好になられると聞きましたが。

(笑)しょどう家、時々武将ってやってます。戦国武将をイメージした甲冑スタイルです。あれは個展を開催する前に仲間と呑んでて、『いろは歌』どうやったら広まるだろうねぇって話してて、堅苦しいのはダメだな、おもしろい要素が欲しいねって。で、戦国時代につくられた歌だから武将になるっていうのはどお?ってなったんです。

そしたら、あ、そうだ!地元に鎧つくってる会社がある!って思い出して。薩摩川内市に丸武産業という甲冑工房があって、日本の甲冑の9割を製造してるんですよ、あとから知ったんですが。あそこなら協力してくれるかもしれないと、すぐ電話しました。わざとバリバリの鹿児島弁で。川内出身で書をやってて『いろは歌』を広げたくて、個展をやるんで甲冑貸してくださいって。それならと快く応じてくれて、1週間貸してもらったんですが、しっかりレンタル料は取られました(笑)。

でも個展での武将スタイルはとてもウケて、鎧着て書きに来て欲しいという依頼が来るようになったんです。そのたびに毎回借りるのも高くつくので、マイ甲冑を買うことにしました。世間には、マイ甲冑を持っている人、結構いるみたいですよ(笑)。飾りじゃなくて、それを着て全国各地で開催される大名行列とか武者行列に参加するらしいです。

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『いろは歌』の中に、酒をテーマにした歌があると聞きました。

「ゑ(よ)」の歌です。酒の飲み方について歌っています。

 ”酔(ゑ)へる世を さましもやらで盃に 無明の酒をかさぬるはうし”

訳すと、「つらい世の中だからといって、何もしないで酒びたりになっても虚しいだけだよ」と。つまり、そういうときこそ静かに自分を見つめ直そう。お酒は明るく楽しく飲もうよというメッセージですかね。

仕事のグチや人の陰口を言いながら酒を飲んでる人っているじゃないですか。それって酒も旨くないし、気持ちよくなれない。やっぱり酒は楽しく飲みたいとずっと思ってました。僕自身、気の合う人と楽しく飲んでいるうちに、自分のまわりの環境とかも少しずつ変わってきて、なにやらおもしろいことになってきました。酒を飲みながら、夢とかやりたいこととか楽しいこととか、そういうことを話してきたからだと思います。『いろは歌』を読んで、僕がやってきたことは正しかったんだと思っています。

「酒呑むときは グチ語らず 夢語ろー」ですよ!

 

 

そんな『いろは歌』が焼酎のラベルになります。

『いろは歌』がラベルになるということよりも、そもそも焼酎のラベルを書かせてもらえるというのが僕の中でひとつの夢でした。書をやっていて、いつかお酒のラベルを書かせてもらえたらいいなとずっと思っていたのですが、書かせてくださいという営業をしたわけでもなくて…。それが今回こうやって、鹿児島の僕の生まれ故郷の田苑酒造さんからお声掛けいただいたことは、ものすごい驚きでもありますし、本当に嬉しいことなんです。

ウチの親父もお酒が大好きで、子どものころから、家にはずっと田苑がありました。芋です。あの緑色のラベルの。はじめて親父と一緒に飲んだ酒も、田苑だったなあ…。

僕の『いろは歌』をキッカケに、『いろは歌』って何?、どんなことが書いてあるの?、これいいんじゃない!という共感の輪が広がっていけば最高ですね。これからも、いろんなところでいろんな人と出会って、言葉を贈りながら、『いろは歌』を伝えていきます。これは僕のライフワークです。

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あなたを見てインスピレーションで言葉を贈ります。<前編>はこちら

 

 

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父の日は田苑

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