旨い酒のためなら、少しの手間は惜しまない。この言葉に少しでも共感された方に、ぜひお試しいただきたいのが、茶葉から淹れた緑茶の旨さを味わう「緑茶割り」です。

緑茶と焼酎の相性のよさは日本全国に知れ渡っていますが、そのどちらもが鹿児島県を代表する特産品であることはご存知でしょうか? 2019年の茶の産出額では静岡県を上回って初の全国1位になるなど、「緑茶といえば鹿児島県!」と言われる日もそう遠くはなさそうです。

日本有数の茶どころの酒造として、せっかくならば、鹿児島県産の緑茶と田苑酒造の本格焼酎を最高の状態で味わってほしい!そんな想いから、今回はおいしい緑茶の淹れ方をご指南いただくために、お茶農家で緑茶や紅茶の販売も手がける、知覧心茶堂社長の東垂水良世さんを訪ねました。

 

基本を知れば、誰でも美味しい緑茶を味わえる

茶葉よりティーバッグ、ティーバッグよりペットボトル。手軽に緑茶に親しめる世の中ですが、急須を使い茶葉から淹れるお茶はそうでないお茶と比べると4倍おいしいというデータが示す通り、適量・適温で抽出した緑茶の旨さにはかないません。

「急須で淹れた緑茶を飲んだときに感じる甘み。これが、緑茶の味わいを決定づける大きな要素のひとつです。

甘みの正体はアミノ酸の一種であるグルタミン酸などの“うま味成分”で、店頭で購入する際には高級茶に分類される、100g1000円前後の茶葉に豊富に含まれています。100g500円前後の茶葉になると、うま味成分よりも苦味成分のカテキンのほうが多くなり、渋みや苦さを強く感じるようになります。

鹿児島県では、温暖な気候を活かして栽培する『かぶせ茶』が有名ですが、茶畑に寒冷紗という布を1週間ほどかぶせて日光を遮ることでうま味成分が増え、しっかり甘みの感じられる緑茶になります」

急須で淹れる際、お湯の温度や抽出時間に少し気を配るだけで、「かぶせ茶」の甘みが引き出され、よりおいしい緑茶を味わえるのだそう。

「緑茶は、90度のお湯で1分。こう覚えている人が多いのですが、それは昔の話。

かつては、葉を蒸す時間の短い浅蒸しが多く、その頃は1分程度の抽出時間でちょうどよかった。ところが今は生産地域に関係なく、市場に出回っている茶葉のほとんどが深蒸しです。蒸す時間が長いと葉が崩れて小さくなり、その分、お茶の成分が出やすくなっているため、1分も経つと渋みや苦味が強くなってしまいます。

 

現在の深蒸し茶は、1杯あたり5gくらいの茶葉に対して、抽出時間は20〜30秒くらいがちょうどいい。

お湯の温度と抽出時間は、下記のように覚えておくといいでしょう。

●100g1000円前後の深蒸し茶は、1杯あたり5gの茶葉で、60度で30秒。
●100g500円以下の深蒸し茶は、1杯あたり5gの茶葉で、90度20秒。

お湯は、一度、沸騰させたお湯を冷まして使います。沸騰したお湯を湯呑みに移し替えるだけでだいたい90度くらい。60度というのは、急須にお湯を淹れたとき、手で急須を包み込むように持てるくらいというのがひとつの目安です」

 

 

新たな嗜み。『緑茶に、焼酎のちょい足し』

緑茶のおいしさを最大限に引き出す淹れ方についてわかったところで、お茶の専門家から“緑茶の旨さをしっかり味わえる緑茶割り”についても教えていただきましょう。

「焼酎を緑茶で割るというよりも、緑茶に焼酎をちょい足しする。そのくらいの感覚だと、お茶の風味を損なわずに焼酎も楽しめるんじゃないかと思いますね。

私個人としては、先ほど紹介したように60度30秒で抽出したお茶に、『田苑 エンヴェレシーダ』をちょい足しするのは、とても相性がいいように感じました。お茶9に対してエンヴェレシーダを1くらいの割合か、もうちょっとエンヴェレシーダが多いくらいでもいいかな。

エンヴェレシーダは芋焼酎だけど香りがフルーティーで飲み口が爽やかだから緑茶に合うけど、香りが強めの芋焼酎はあまりおすすめしません。

一般的な焼酎なら、麦焼酎のほうが緑茶との相性はいいでしょうね。

ただ、お酒の味も香りも個人の嗜好によるところが大きいと思うので、まずは好みの緑茶を淹れて、そこに焼酎をちょっとずつ足していきながら自分のベストを探るのがいいでしょうね。そんな飲み方も楽しいじゃないですか」

 

緑茶割りを2杯目、3杯目と飲むときは、茶葉から緑茶を淹れ直したほうがいいのでしょうか?

「1杯5gの茶葉で、ギリギリ3煎目までいけます。1煎目はお湯を入れてから30秒。2煎目は10秒、3煎目は5秒。最後はもう、お湯を注いだらすぐに出す感じです。

ポイントは、1煎ずつお湯を出し切ること。茶葉からお湯が離れてしまえば、それ以上お茶の成分が出てくることはないので、2煎目3煎目でもおいしく飲むことができますよ」

 

 

 

暑い季節にもぴったり!安眠に誘う緑茶ハイ

緑茶を飲むと夜眠れなくなる。そんな方にぜひ試して欲しいのが、水出しした緑茶に焼酎をちょい足ししてつくる緑茶ハイです。

「水出しのいいところは、カフェインやカテキンなどの苦渋味成分が抑えられて、グルタミン酸やテアニンなどのアミノ酸が増え、緑茶をより甘く感じられるところです。しかも、急須で淹れるよりも簡単です。

水出し緑茶は、5gの茶葉に対して350mlの水を注ぐだけでできます。これを冷蔵庫で30分くらい冷やしておけば完成です。

温かい緑茶とは違い、水の中に茶葉を入れっぱなしにしておけるので、朝、家を出る前に水出し緑茶を仕込んでいってもいいし、帰宅してすぐに水出し緑茶を準備して、それから着替えたりつまみでも用意していれば、その間にできてしまいますよ。

それに、先ほども申し上げたように、水出しだとカフェインが抽出されにくいので、眠れなくなるから夜はお茶を控えているという方でも安心ですし、それどころか、水出しだとL -テアニンというサプリメントでも使われている眠りの成分が豊富に取れるので、かえってよく眠れるようになるかもしれません。夜の水出し緑茶は、不眠で悩む方にもおすすめの飲み方です」

 


東垂水良世さん
鹿児島県南九州市知覧町で、祖父の代から知覧茶をつくるお茶農家の3代目。平成20年に知覧心茶堂を設立し、平成25年からは知覧茶の紅茶製造も開始。近年は、安眠や血圧低下の効果が期待されるGABA(ギャバ)を含む「GABA緑茶」「GABA紅茶」の生産にも力を注いでおり、鹿児島市出身の元バレーボール日本代表の迫田さおりさんに協力を得て、GABA茶普及のための購入型クラウドファンディング(2021年4月16日まで)なども行っている。
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