焼酎にクラシックを聴かせるってどういうことですか?

音楽仕込み(1)

工場に足を踏み入れると、クラシック音楽が耳に飛び込んできた。聞き覚えのある曲なのだが、曲名は出てこない。想像していた以上に、音が大きいことに驚いた。コーヒー店で天井から流れてくるBGMとは違って、はっきりと音楽が鑑賞できる音量だった。

鹿児島県・樋脇町の田苑酒造。ここでは『音楽仕込み』による焼酎造りが行われているという。原料を発酵させる時と蒸留した焼酎を貯蔵している時に、クラシック音楽を聴かせて、よその蔵とは違う酒を造っているのである。

『音楽仕込み』の生みの親であり、当時の工場長だった塚田定清さん(82歳)を訪ねた。

 

音楽仕込み、ことのはじまり

音楽仕込みをはじめたキッカケは何だったのですか?

「当時、牛に音楽を聞かせたら乳の出がよくなったとか、パンを作る時に音楽を聞かせたらふっくら仕上がったといった話がマスコミをにぎわしていてね、焼酎も酵母だからいいかもと半ば冗談で思ったのがキッカケでした」

 

それで、焼酎に音楽を聴かせようと?

「ちょうど工場見学に来るお客様も増えてきた頃だったので、騒音でうるさいより音楽でも流れていた方がいいだろう。そうすれば、自分も好きなクラシックが毎日聴けると。そんな軽い気持ちで、工場にオーディオセットを持ち込みまして…」

 

もともと音楽にご関心があったのですか?

「私は、中学・高校と音楽部に所属してピアノを担当していました。特にクラシックが好きでね、音楽浸けの日々を送っていたんですよ」

「昼間はお客様もあるしBGM程度にボリュームを絞ってましたが、毎日夕方5時になると工場中にベートーヴェンの田園交響曲を鳴り響かせてね、至福の時でしたよ(笑)」

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音楽が発酵を促すことを発見

音楽の効果は、すぐに現れたのですか?

「工場に音楽を流しだしてしばらくした時、スピーカーに近いタンクだけ発酵が早いって言い出したんですよ。一次もろみの仕込みタンクでね、米麴を使った場合、通常は6日目にアルコール度数15度となって発酵を終えるはずなのに、5日目で完了したと言うんですよ」

 

スピーカーに一番近いのだけ?

「そう。でも信じられなくてね。『そんなバカな話があるか』って、試しにスピーカーの位置を変えてみたんですよ。そしたらまたスピーカーに近いタンクだけ、アルコール発酵が1日早く進んだ」

本当だったんですね!

「これが本当なら、タンクに直接スピーカーを取り付けたら、すべてのタンクの発酵が早まるんじゃないか? さっそくやってみようと。自動車用スピーカーを取り付けたり、有線放送のスピーカーを取り付けたり。試行錯誤がはじまりました」

 

→『クラシックを子守唄に眠る焼酎!』へつづく・・・

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