【 連載 】教えて!リカー先生 その③ 麦焼酎とウイスキーの製造方法。蒸留の違い

麦焼酎とウイスキーの原料が同じ二条大麦だということをリカー先生から教わったコージ君(26)。しかもスーパーのお酒売り場で見つけた金色の焼酎は、ウイスキーと同じ木の樽に入れて貯蔵されたものだと聞いて、がぜん興味がわいてきました。

 

コージ:リカー先生、きょうは麦焼酎とウイスキーの蒸留の違いを教えてください。

リカー先生:いいわよ。コージ君、蒸留する前のアルコール度数のこと覚えてる?

コージ:覚えてます。ウイスキーの方がアルコールが高いイメージなのに、蒸留する前は麦焼酎の方が高いんでしたよね。

リカー先生:そう。蒸留する前のアルコール度数は、麦焼酎が約17%なのに対して、ウイスキーは7〜8%しかないの。じゃあ、まずは蒸留の基本からよ。蒸留というのは、液体を蒸発させたのちに再び液体に戻して成分を凝縮させること。お酒の場合は、蒸留することでアルコール度数が高くなるわ。

コージ:どうしてアルコール度数が高くなるんですか?

リカー先生:蒸留する前のもろみの中の水の沸点が100℃なのに対して、アルコールの沸点は78℃なの。つまり、もろみを熱するとアルコールが先に蒸発しはじめるので、その蒸気を冷やして液体に戻すと、原液よりもアルコール度数の高いお酒ができるというわけ。

コージ:アルコールだけを蒸発させるんですか?

リカー先生:うんうん。42℃ぐらいのお風呂でも、お湯が蒸発して窓が曇るでしょ。沸点に達しなくても蒸発はするので、アルコールだけというわけにはいかなくて、アルコールの方を多くという感じかな。

コージ:麦焼酎とウイスキーでは何が違うんですか?

リカー先生:蒸留装置には単式蒸留器と連続式蒸留器があって、グレーンウイスキーは連続式蒸留器を使うのだけど、麦焼酎とモルトウイスキーは単式蒸留器を使うのよ。単式蒸留器というのは…(リカー先生が絵を描き出す)

麦焼酎もウイスキーも単式蒸留器を使用

 

下にもろみを入れて加熱する釜があって、上の方から延びているパイプで蒸気を運んでって、こっちの冷却器で液化させるって構造よ。

コージ:リカー先生の絵、はじめて見ました。うまいですね!

リカー先生:笑)これはポットスチルと呼ばれる単式蒸留器で、ウイスキーはこれで2回蒸留するの。1回目でアルコール度数約20%の液を取り出し、それをもう一度蒸留して65〜70%というアルコール度数の高い原酒をつくるのよ。

コージ:70%!すごいですね。麦焼酎はどうやるんですか?

リカー先生:蒸留器の形は少し違うけど、原理は同じよ。ただしほとんどの麦焼酎は蒸留が1回だけで、アルコール度数は45%以下と決められているの。40〜44%というところかしら。

コージ:どうして1回だけなんですか?どうして45%以下?ウイスキーみたいに2回やれば、もっと度数の高い焼酎が造れるのに。

リカー先生:蒸留を重ねるとアルコール分は凝縮することができるけど、原料に由来する成分はどんどん薄れていくの。麦のいい香りだったり、うまみだったり。不純物も除去されるから、ピュアなアルコールになるとも言えるわけだけど、麦焼酎は原料由来のおいしさが特長のお酒だから、やはりそこは残さないと。

長期樽貯蔵の麦焼酎 田苑 ゴールド

コージ:なるほど。アルコールを高めつつも、麦の香りやおいしさは残してあるのか。

リカー先生:そう。そこにさらに樽の成分が付加されているのが、コージ君がお酒売り場で見た樽貯蔵麦焼酎。次回は、いよいよ樽貯蔵の話よ。お楽しみに!

 

 

 

>>>教えて!リカー先生④へ続く

次回は樽の中で熟成する麦焼酎とウイスキー