鹿児島の美味のすべてを、創作郷土料理で /天文館・千扇(鹿児島)

「ここ一軒で鹿児島まるごと旅した気分」がキャッチフレーズ。地元の海の幸、野の幸、山の幸にこだわり、創意工夫を凝らした郷土料理でもてなしてくれる小料理屋さんだ。女将のお母さんが店をはじめたのが1975年というから、鹿児島一の繁華街「天文館」の中でも老舗である。三代目となる狩野 彩さんに話をうかがった。

 

伝統を守りながらも新しいものを

鹿児島には、古くから家庭料理として受け継がれてきた郷土料理がある。キビナゴ、トビウオ、黒豚、地鶏といった地元の食材を使った定番がメニューに並ぶ。鹿児島で愛され続けてきた「うまかもん」だ。でもそれだけではないところが「千扇」らしさ。独自の味付け、今どきのセンス、新しい食べ方で料理を創作する。

 

「うちの名物料理に『勘八燻(かんぱちくん)』というのがあります。桜島沿岸の海で育てられたカンパチの燻製の押し寿司です。シャリには鹿児島の伊佐米、福山黒酢、奄美の黒砂糖を使っています。鹿児島はカンパチの養殖量が日本一なのですが、あまり知られていません。だからカンパチを使ったオリジナル料理を提供して、鹿児島のカンパチをもっと広く知ってもらいたいと思ったんです」と彩さん。

 

◆勘八燻/1,200円

燻製にした桜島カンパチを使った千扇オリジナル郷土料理。シャリには鹿児島産の米と黒酢、黒砂糖が使われている。ときたら、酒も、もちろん黒!。『田苑 芋 黒麹仕込み』。

 

かごしま黒豚を味わい尽くす

今や全国的なブランド肉となった「かごしま黒豚」は、肥育後期にサツマイモが飼料として与えられており、旨味が濃いのにさっぱりしているのが特長。メニューには角煮、しゃぶしゃぶ、せいろ蒸し、陶板焼きとおなじみの料理が並んでいるが、千扇流にアレンジしたのがコレ。

 

◆黒豚ミンチのナス餃子/350円

お肉屋さんに別注して、かごしま黒豚を千扇こだわりの粗さで挽いてもらい、独自の味付けをしたのち、ナスの切り目に挟んで油で揚げた。30年前からの人気メニューだ。カラリと揚がった餃子をほおばると肉汁がジュワーっと広がって、キリリと冷たい『田苑 ゴールド』のロックのうまいことうまいこと。

 

鹿児島でしか味わえない海の美味

はじめに紹介したカンパチのほかにも、鹿児島の海から揚がる魚介類はたくさんある。一番有名なのは、やはりキビナゴか。田苑酒造の地元である鹿児島県薩摩川内市の西方に浮かぶ甑島(こしきしま)周辺が好漁場となっている。黒潮の本流に乗ってやって来る代表格はトビウオやサバ。

 

「うちでは首折れサバを屋久島から取り寄せています。品種はゴマサバなんですが、鮮度を保つために漁獲後すぐに船の上で首を折って血抜きされてるんです。水揚げされたその日のうちしか食べられないので、台風やシケのせいでどうしても提供できないこともあります。せっかく楽しみに来ていただいたお客さまには本当に申しわけなくて…」。

 

◆首折れサバのお刺身/880円 キビナゴのお刺身/790円 お刺身盛り合わせ/1,500円〜(一人前)

首折れサバは身の締まった歯ごたえがあり、脂肪分が少ない。キビナゴは鹿児島伝統の甘めの麦味噌を使った自家製の酢味噌でいただく。田苑の芋焼酎なら水割りかお湯割り、ゴールドならソーダ割りもいいな。

 

◆キビナゴの網焼き

 

◆カツオの腹皮の網焼き

 

 

飲み放題付きのお得なコースも人気

店内は美しい木目や竹素材を活かした上品な空間。お客さまは40代〜60代のビジネスマンや接待利用が多いというが、料理もドリンクも案外リーズナブルだ。お得なコースも用意され、料理10品の「鹿児島うまかもんコース」は飲み放題付き。もちろん田苑の焼酎も含まれている。全43席なので満席になることもあり、訪れる際には事前に電話一本入れておくと安心だ。


(左)女将・狩野 利恵美さん (右)狩野 彩さん

 

●取材協力店舗
天文館 千扇(ちせん)
鹿児島県鹿児島市山之口町11-17 米沢ビル1F
営業時間:17:00~24:00
不定休:日・祝営業
電話:099-224-5939