黒千代香、そらきゅうって…? 焼酎を味わうこだわりの器あれこれ

黒千代香、からから、そらきゅう…。これらがいったい何をするためのものかご存知でしょうか? 聞き慣れないかもしれませんが、これらすべて焼酎の器を指します。ワインにシャンパングラスやボルドーグラスがあるように、焼酎にもこだわりの酒器があるというわけです。今回は、九州・沖縄地方に伝わる焼酎の器について、専門の通販サイトを展開する「まほろばの里 焼酎の器」の宮田智一さんにお話を聞きました。

 

芋焼酎がまろやかになる「黒千代香」

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急須を平たくしたような形をしているのが、鹿児島に伝わる「黒千代香」です。鹿児島伝統の酒器だけあって、芋焼酎をお燗で温める道具。芋焼酎とお水を入れて前もって割っておき、直火で温めて使います。

「黒千代香は、『くろぢょか』と読みます。これで芋焼酎を温めると、遠赤外線効果で焼酎と水がうまくなじんで、角がとれたまろやかな味わいになりますよ。おちょこに注いでちびちびと飲むのが薩摩流。普段飲んでいる芋焼酎も、一味違った風味になります」(宮田さん)

なお、沖縄にも「ちょか」はありますが、丸い急須型をしています。沖縄なので、泡盛を入れる器になりますが、泡盛は温めて飲む風習があまりないため、ガラス製のものや持ち手が陶器になったものもあるようです。

 

中国から伝わって変化した「カラカラ」「ガラ」

「カラカラ」「ガラ」はいずれも、焼酎を注ぐためのお銚子をさします。「カラカラ」は、沖縄と鹿児島で、「ガラ」は熊本県南部の球磨地方でそれぞれ発達しました。

「これらの酒器のルーツは中国だといわれています。それが沖縄に伝来した後、鹿児島、熊本・球磨地方へと伝わり、それぞれの土地の焼酎とその飲み方に適した形に変化しました」(宮田さん)

【カラカラ(沖縄)】
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沖縄で泡盛を入れて注ぐのに用いられます。壺屋焼で造られたものが伝統的ですが、最近は琉球ガラスを使ったものが多くなっています。

【カラカラ(鹿児島)】
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鹿児島で芋焼酎を入れて注ぐのに用いられます。芋焼酎を水で前割りにしてまろやかになったものをおちょこに注いで飲みます。

【ガラ】
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熊本県南部の人吉を中心にした球磨(くま)地方は、米焼酎の産地であるため、焼酎といえば米焼酎が一般的です。ガラは、この米焼酎を温めて飲むために発達した球磨地方伝統の器。有田焼や多治見焼の白色陶器が好まれ、カラカラよりも首が長いのが特徴です。ガラは「チョク」という杯とセットで使われ、チョクは清酒の熱燗用の杯よりも小さくなっています。これは、焼酎の強い香りが鼻にツンとこないようにするため。米焼酎をいただくときには、使ってみたいですね。

 

伝統の遊びとともに楽しみたい「そらきゅう」

そらきゅう
独楽(こま)のような形をした「そらきゅう」は、見た目のとおり、不安定で置くことができません。しかも、底に穴が開いたものもあります。これはどんなときに使われるのでしょうか?

「これに焼酎を注がれたら、置く前に飲み干してしまわなければなりません。つまり、これは、勢いよく飲み干すための器。“そら”と注がれたら、“きゅう”っと飲むための器であることから名づけられました。そらきゅうは、南九州地方の宴席遊びで主に使われ、鹿児島では『なんこ遊び』という伝統の遊びで負けたら、ぐいっと飲み干すのがルール。ちなみに底に開いた穴は、指でふさぎながら飲みます。ホームパーティーでやってみるといいかもしれませんね」(宮田さん)

 

特別なときに使いたい高級感ある「薩摩切子」

薩摩切子

現在は焼酎といえば、ロックや水割りで飲むことが多くなり、ガラスの器のバリエーションがふえています。そのなかでも特別なときに使いたいのが、「薩摩切子」です。

「薩摩切子は、軽やかで繊細な江戸切子と違い、重厚感があるのが特徴となっています。いろいろな文様がありますが、六角籠目や八角籠目といった竹籠の文様が人気ですね。色によって値段が異なり、『金赤(きんあか)』というワインレッドのような色は、原料も高く、鮮やかに発色させるのがむずかしいため、最高級品となっています」(宮田さん)

焼酎の器は、その地域に根付いた焼酎の種類や飲み方によって発達したことがわかりました。そこには伝統の技や遊びごころが詰まっており、焼酎が地域を代表する文化の1つであることを改めて感じます。いまどきの感覚で焼酎を楽しむのもいいですが、たまには伝統の器で地域独自の文化を感じながら飲んでみてはいかがでしょうか。

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■取材協力
まほろばの里 焼酎の器
http://www.shochunoutsuwa.com/