田苑 ゴールドの生みの親に、 新しい田苑 ゴールドはどう映ったか。

誕生30周年を迎えた田苑 ゴールドが全面リニューアル。今年2017年7月、満を持して世に送り出された。何を目指したのか。それは実現できたのか。味はどう変わったのか。それを生みの親はどう思ったのか。聞いてみた。

 

 

田苑 ゴールドの生みの親はどんな人?

いまから30年前の1987年、田苑 ゴールドが発売された。開発の中心を担ったのは塚田定清さん(現在83歳)。田苑酒造の前身、塚田醸造場の4代目だ。
鹿児島出身の塚田さんは東京の大学を経て、大蔵省主税局醸造試験所(当時)に勤務することを決めた。きっかけは悔しさだったという。
「大学3年の時、実家から持って行った芋焼酎を飲んでもらったら、鹿児島じゃこんなの飲んでるのか!と言われたんです。ショックでした。」
地元で評判だった酒を酷評された塚田さんは、酒造りを一から勉強し直し、新しい焼酎をつくろうと決意する。そのために門を叩いたのが醸造試験所だった。
醸造試験所は殖産興業の一環として醸造業を支援するため、国が大蔵省の管轄下に設立。酒の品質の安定と向上を目指し、微生物学に基づく酒類醸造技術を研究する機関だった。塚田さんはここで酵母や麹菌などを徹底的に研究するとともに、世界各国の酒造りを学んだ。
「試験所では、日本酒の荒ばしりを蒸留して貯蔵する実験も行いました。」
荒ばしりとは、酒のもろみを絞った際に出る最初の部分。それを蒸留して、樽で貯蔵していたと言う。試験所でのこの実験が、後に蒸留酒である焼酎に繋がり、樽貯蔵にも繋がっていく。

 

自らの発想で焼酎を造った塚田さん。

1963年、鹿児島に戻った塚田さんは新しい焼酎造りを始めようと決意。まず模索したのは、原料を何にするかだった。

「他と同じことはやりたくなかったんです。芋はいろんなところで造っていたし、米は良質のものが手に入りにくかった。トウモロコシは飼料用に輸入したものだったので、品質がいまひとつで、色も安定しない。その点、大麦はオーストラリアから良い品質のものが安定して入っていました。だから、麦で造ろうって。消去法ですけどね(笑)。」

そう笑う塚田さんだが、他と同じことはやりたくないという気持ちは貫いた。

「やるなら、樽貯蔵しかないと思いました。誰もやってないことに挑戦したかったんです。私には醸造試験所での経験があったので、自信もありました。」

 

 

そして、田苑 ゴールドを開発。

塚田醸造場として長年培った技術に、塚田さんの醸造試験所での経験と研究の成果を加え、1982年、田苑酒造はついに樽貯蔵麦焼酎を完成させる。日本初の快挙だった。そして、1985年、田苑 金ラベルを発売。樽貯蔵、長期貯蔵ならではの深い味わいで、あっという間に愛飲家の心をわしづかみにした。しかし、それで満足する塚田さんではなかった。

「金ラベルの旨さをもっと多くの人に知ってもらいたくて、小サイズタイプを出そうと考えました。当時、焼酎といえば一升瓶でしたが、そうじゃないものをと考え、角瓶で出そうと思いました。まず、熊本で荘苑という仮の名前を付けてテスト販売したら、これが大人気。それなら瓶も他にはないものにしようと、720mlの型をおこして田苑だけの角瓶を作り、世に出しました。」

これが、1987年に発売した田苑 ゴールドである。

さらに塚田さんは1990年、原料を発酵させる時と焼酎を貯蔵している時にクラシック音楽を聴かせる〝音楽仕込み〟を開発。田苑 ゴールドにもこれを採用し、理想の焼酎を追求していく。

 

新しい田苑ゴールドを飲んでもらった。

塚田さんはすでに第一線を退き、のんびりと暮らしている。それでも焼酎造りへの熱い思いはいまも変わらず、古い資料や見聞きしてきた経験を文献としてまとめているという。田苑酒造にも時折顔を出しているというが、やはり気になっているのだろうか。

「田苑の焼酎は普段から飲んでいますからね。安心はしていませんが(笑)、心配はしていません。みんな、いい焼酎を造ろうと頑張っていると思いますよ。少しでも理想の焼酎造りに役立ててほしいと思い、私が使っていた古い資料は田苑の敷地内にある焼酎資料館に寄贈しました。」

顔を出してもあまり口出しはしないという塚田さんだが、行けば社員たちから質問攻めに遭うという。貪欲な姿勢は塚田さんゆずりなのだろう。

そんな塚田さんに、全面リニューアルした田苑 ゴールドを飲んでもらった。

「旨いですね。生まれ変わったというより、深化した、深みを増したという感じかな。いい焼酎を造ったと思いますよ。」

塚田さんは顔をほころばせた。

新しい焼酎を造る。焼酎の理想を追求する。そんな思いで塚田さんが造りあげた田苑 ゴールド。そのDNAはいまも脈々と受け継がれている。塚田さんの表情はそれを物語っているように思えた。

生みの親のお墨付きをもらった新しい田苑 ゴールド。さて、これまでのファンはどんな評価を下すのか。そして、新しいファンはどこに魅力を感じるのか。気になるところだ。

 

全面リニューアルした『田苑 ゴールド』の詳しい情報はこちら!