田苑の芋焼酎になるイモの生産者を訪ねました

焼酎造りは、畑からはじまっている。

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薩摩半島の南端、指宿市山川大山に、田苑の契約生産者である松下さんの畑が広がっていた。標高924mの開聞岳が西側に美しくそびえ、南方海上はるか遠くに屋久島が見晴らせる。

このあたりの年間平均気温は18℃。冬でも霜が降りることがない。この温暖な気候を活かして、露地栽培による旬の味を日本で一番早く出荷することができるのだという。

畑の土は黒くて粗く、5mm〜1cmほどの粒からなっていた。開聞岳の噴火でできた火山礫によるもので、排水性と通気性に優れるが、逆に地力の維持が難しい。それを補うために、松下さんは毎年10aあたり3〜4tもの堆肥を入れている。

「土が粗くて、水はけがいいから、芋がラクできないんです。根を深く張って、苦労して育つんです。ふつうサツマイモの根の深さは1mに満たないのですが、ここでは水を求めて2mも地中に根を伸ばします。長く丈夫な根からたくさんの養分を吸収し、高品質なサツマイモに育つんですよ」。

ほかで育てた芋と、どう違いますか?

「比重がぜんぜん違います。ぎゅっと実が締まってて重いです。よそで作った芋は水に入れると浮かびますが、ここの芋は沈みます。真水はもちろん塩水でも沈みますから!」

 

子どもを育てるように、芋を育てる。それが松下スピリッツ。

松下さんは長年、焼酎原料として主流の『黄金千貫』を中心に育ててこられた。皮も中身も白く、でんぷん質が豊富で、ホクホクとして栗のような甘みがある。「田苑 芋 黒麹仕込み」などの原料となっているのも本種だ。

しかし、新品種の栽培にも積極的で、今いちばんのオススメは『べにはるか』だという。赤紫色のつるりと美しい形をした紅芋で、その糖度は他の品種よりはるかに高いのだそうだ。

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いい芋のためには、どんなことが大切ですか?

「ジャガイモは畑に種芋を植えますが、サツマイモは苗を植え付けます。だからどんな苗を選ぶかがまず重要ですね。苗は、種芋から出た芽を伸ばして切り取ったもので、10本20本と束ねて種苗店などで販売されています。でも私は、苗を買いません。」

えっ?どういうことですか?

「前の年に自分で育てた芋の中から最も優れた株の芋を残しておいて、それを種芋にして芽を出させて苗を作るんです。毎年毎年それを繰り返すことで、理想とするサツマイモに改良してきました。他人が作った苗なんかで育てられるか!と思ってますので。」

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親から子へ、子から孫へと血が受け継がれていくように、松下さんのサツマイモは松下さんのスピリッツを代々受け継いできた。独自のこだわりを持って、わが子のように育てられたサツマイモ。そこに田苑スピリッツを注ぎ込んで、田苑酒造の芋焼酎は生まれるのだ。ふうわりとしたやさしい味わいの中にも、どこか骨太の大地の力強さを感じられるのは、こういったストーリーがあるからなのかもしれない。