“パクチーすぴりっと”の パクチーを作っている畑を訪ねた。 その2

実は有村さん、独立して農業を始めて3年目。

有村さんが農業を始めたのは26歳の時。脱サラして趣味で始めるならともかく、農家としては“遅い”と言われる年齢だ。

「うちは代々農家で、当時は父がやっていました。兄がいましたので、というより、農家はやりたくないと思っていました。それで、食品工場に就職しました。その後、飲食店で働いたんですが、その時、父の作った野菜を使うことになったんです。それからですね、農家に興味を持つようになったのは。」

有村さんは父親の元に戻り、32歳までの6年間、みっちり修行した。そして、3年前に独立。父の元を離れ、ひとりで農業を始めた。しかし、これが一筋縄ではいかなかった。

「地元出身だし、農家に知り合いもいるし、父もいるので、畑を借りるのは簡単だと思っていました。ところが、信用がないので、貸してもらえなくて…」

独立して1年目は、畑探しをしながらのアルバイト生活だった。それでも小さな畑からコツコツ始め、無農薬にこだわり続けることで、実績を積み重ねていく。いまや、地主さんの方から声を掛けてもらえるようになった。そんな有村さんの畑作りとは?

「あちこちに畑を借りているので、土質も違うし、日照条件も違う。地形が違うので、温度や湿度、風通しだって違います。畑によって、条件がすべて違うんです。でもそれは逆に良いこと。その畑々に合った野菜を選んで栽培できますから。」

有村さんが作るパクチー。

鹿児島県は桜島の関係でシラス台地になっているところが多い。しかし、この畑は黒土、粘土質、小石を多く含んでいる。大根や人参などの根もの野菜は、根が石に当たって曲がってしまうので適さないが、地上に育つ野菜にはむしろ適しているそうだ。

「この畑を借りて2年目。パクチー作りは今年が初めてですが、誰でも最初は、“初めて”です。何でもチャレンジしてみたい性分なので、田苑さんからのお話は、渡りに船でした。」

なんと屈託がない。経験と勉強からくる自信なのだろうか。有村さんはさらにこう続けた。

「パクチー作りには鹿児島の温暖な気候が合っています。この畑、朝日はあまり当たりませんが、昼から夕方までたっぷり陽が当たります。それでも、お酒の材料としてパクチーを作るので、季節外の収穫も必要なので、ビニールハウスで作ることにしました。」

ビニールハウスで作れば簡単なのだろうか?

「日照時間は自然に任せるしかありませんが、温度・湿度・風通しの管理は徹底しています。ビニールハウス内外の温度・湿度を計測し、こまめに開け閉め。温度は20〜25℃、湿度は80%が目安です。ほかの畑では使ってるところもあるのですが、近い将来、この畑にも霧発生装置やスマホ連動のリアルタイム監視システムを導入したいと思っています。」

温度や湿度の推移データ、カメラ撮影の映像などをスマートフォンで確認し、ビニールハウスの開閉を遠隔操作で行えるのだと言う。有村さんが農業指導で協力している立命館アジア太平洋大学、その教授と連携して開発したものだ。手間ひま掛けて作るだけでなく、ITも導入しようとしている。それだけではない。

「同じ畑、同じビニールハウス内でも、土の栄養バランスは違います。作っているパクチーには同じ香りと風味を持たせたいので、土壌分析も行っています。カルシウムが足りない場所があるので、そこには加えています。何でも経験や勘に頼るのではなく、これからの農業には科学のチカラも必要だと思います。」

有村さんと田苑酒造は似た者同士

有村さんの名刺には“農ティスト”という肩書が書かれている。“農業+アーティスト”、農作物はひとつの作品である、という意味が込めて、ギャラリーを経営している知り合いが付けてくれたそうだ。

「新しいことをやるのが好きなんです。この肩書も、初めてパクチーを作るのも、楽しくてワクワクします。私のチャレンジ好き、田苑さんと似ていると思いませんか。音楽仕込みとか、長期貯蔵や樽貯蔵とか、今回はパクチーのお酒ですよね。最初はえ〜!?と思いましたが、それが私の気持ちに火を付けたようです。」

パクチーを契機に始まった有村さんと田苑酒造のコラボレーション。次の構想も練られている。今後の動向からも目が離せない。

 

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【特報】朝日新聞のデジタル版で『パクチーすぴりっと』が紹介されました!
こちらも是非ご覧ください。
→朝日新聞 記事『パクチー臭全開のスピリッツ 香り苦手な女性杜氏が奮闘』はこちら