ウイスキーも焼酎もテキーラも蒸留酒

蒸留酒は、アルコール発酵した醸造酒(発酵液)を蒸留して造られた酒で、スピリッツとも呼ばれます。大気圧下では水の沸点が100度なのに対し、アルコールの沸点は約78度です。この温度差を利用して、醸造酒を熱し、水よりも沸点の低いアルコールを優先的に気化させ、それを別の容器に移して冷却し、再び液化させて造られます。

当然、蒸留した液体は、もとの醸造酒よりアルコール度数が高くなります。醸造酒のアルコール度数は5%〜20%ですが、蒸留することで40%以上、何度も蒸留を繰り返すと最高96%にまで高めることが可能です。もはや酒というより、ただのアルコールですね。

もともと蒸留の技術は酒を造るためではなく、花などを原料にスパイスや香油を精製するために生まれました。なぜ酒造りに発展したのかは定かではありません。てっとり早く酔っぱらいたかったからでしょうか。

ともあれ、蒸留することで保存がきくようになったのは確かです。醸造酒には糖質やタンパク質などの有機成分が含まれ、アルコール度数も低いため、雑菌が繁殖しやすいのが難点でした。しかし蒸留酒は有機成分を含まず、アルコール度数も高いので長期保存が可能。これで人類は、いつでも酒が飲めるようになったのです。

世界最古の蒸溜酒とされているのは、メソポタミアで紀元前から造られていた「アラック」です。当時はナツメヤシの実(デーツ)を原料にしていたようですが、現在、アラックという名称は中近東から東南アジアにかけて造られているさまざまな蒸溜酒の総称となっています。

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アラックにはじまった蒸留酒は、長い時間をかけて世界に広がっていきました。
■西ルート(海上)/スペイン・ポルトガル→アイルランド→スコットランド
■西ルート(陸上)/スペイン・ポルトガル→フランス・オランダ→フィンランド→ロシア
■東ルート/インド→モンゴル・中国→タイ・インドネシア→琉球→鹿児島
■大西洋ルート/スペイン→西インド諸島→メキシコ・ブラジル→アメリカ→カナダ
こうして、それぞれの国・地域で、個性あふれる蒸留酒が生まれたのです。

世界四大スピリッツと言われるのは、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラですが、しかしこれはウイスキーやブランデーを別のカテゴリーとした場合のこと。製法から分類すれば、どちらも蒸留酒です。そして日本の焼酎も世界の蒸留酒の中のひとつなのです。

 

世界の主な蒸留酒

160420_蒸留酒MAP

●スコッチウイスキー
産地/イギリス 原料/大麦麦芽 単式蒸留機で2回蒸留後オーク樽で3年以上貯蔵

●ジン
産地/オランダ・イギリス 原料/ライ麦・トウモロコシなど 杜松の実や柑橘系の香り

●アイリッシュウイスキー
産地/アイルランド島 原料/大麦・ライ麦・大麦麦芽など 3回蒸留後3年以上樽貯蔵

●ブランデー
産地/フランス 原料/ブドウ ワインを蒸留して樽貯蔵熟成。有名なコニャックは地名

●ウオッカ
産地/ロシア 原料/トウモロコシ・大麦・小麦などの穀類 連続式蒸留後、白樺炭濾過

●アラック(総称)
産地/インドネシア(東南アジア各国) 原料/米・ココナッツ樹液 単式蒸留

●白酒(パイチュウ)
産地/中国 原料/高梁(コウリャン)・トウモロコシ・小麦など 甕貯蔵して長期熟成

●焼酎・泡盛
産地/日本 原料/米・大麦・さつま芋など 本格焼酎と泡盛は単式蒸留、焼酎甲類は連続式蒸留

●カナディアンウイスキー
ライ麦を主原料とするウイスキーとトウモロコシを主原料とするウイスキーをブレンド

●アメリカンウイスキー
代表的なバーボンウイスキーはトウモロコシが原料。内側を焼いた新樽に2年以上貯蔵

●ラム
産地/西インド諸島 原料/サトウキビ 単式または連続式蒸留後ホワイトオーク樽貯蔵

●テキーラ
産地/メキシコ 原料/竜舌蘭 樽貯蔵の有無などにより透明な酒から琥珀色の酒まで

●ピンガ
産地/ブラジル 原料/サトウキビ 搾汁を発酵・単式蒸留後、樽貯蔵。別名カシャッサaloe vera